「京都市の実家が空き家のままになっている。空き家税が始まると聞いたけれど、いつから、いくらかかるのか分からない」
そんな方に向けて、京都市が導入を予定している**非居住住宅利活用促進税(いわゆる空き家税)**のしくみを、京都市の公式情報をもとに整理しました。
先に要点をまとめると、課税開始は令和12年度(2030年度)の予定で、対象は市街化区域にある、誰も住所を置いていない住宅です。インターネット上には「2029年開始」とする記事も多く残っていますが、京都市は課税開始を1年延期し、現在は令和12年度の開始予定としています。
京都市の空き家税(非居住住宅利活用促進税)とは
非居住住宅利活用促進税は、京都市が条例(京都市非居住住宅利活用促進税条例)にもとづいて独自に導入する税です。国の税ではなく、京都市が総務省との協議を経て新設を決めた「法定外税」にあたります。
目的は、使われていない住宅の活用を促し、京都市に住みたい人への住宅の供給を増やすことです。京都市は税収を空き家の活用支援などに充てるとしています。
| 項目 | 内容(京都市の公式情報より) |
|---|---|
| 正式名称 | 非居住住宅利活用促進税 |
| 課税開始 | 令和12年度(2030年度)の予定(当初予定から1年延期) |
| 課税される人 | 非居住住宅の所有者 |
| 対象の地域 | 京都市内の市街化区域 |
| 税額 | 家屋価値割+立地床面積割 |
「非居住住宅」とは、その住宅に住所を置いている人がいない住宅のことです。空き家だけでなく、別荘やセカンドハウスとして使っている住宅も、住所を置いている人がいなければ対象になり得ます。
対象になる住宅・ならない住宅
課税の対象は、京都市の市街化区域にある非居住住宅です。市街化区域の外にある住宅は対象になりません。
自分の家が市街化区域にあるかどうかは、毎年届く固定資産税の**課税明細書(家屋)**で確かめられます。京都市の説明では、「都市計画税に係る当該年度課税標準額」の欄が空白の家屋は市街化区域の外にあるため、この税の対象になりません。
非居住住宅であっても、次のいずれかに当てはまる場合は課税が免除されます。
- 事業に使っている住宅、または1年以内に事業に使う予定の住宅
- 賃貸の募集や売却を予定していて、その開始日から1年がたっていない住宅
- 景観重要建造物に指定されたものなど、歴史的な価値がある建築物として京都市が定めるもの
注意したいのは2つ目です。京都市のよくある質問では、ここでいう「募集」は一般から広く借り手・買い手を募ることを指し、知り合いに声をかけている程度では免除の対象にならないとしています。また、課税免除は開始から1年までなので、「とりあえず売りに出しておく」だけでは長く続けられません。
税額の計算方法:家屋価値割と立地床面積割
税額は、2つの部分の合計で決まります。
| 区分 | 計算式 | 税率 |
|---|---|---|
| 家屋価値割 | 家屋の固定資産評価額 × 税率 | 0.7% |
| 立地床面積割 | 敷地の土地の1㎡あたり固定資産評価額 × 住宅の床面積 × 税率 | 0.15〜0.6%(家屋の評価額に応じて変わる) |
立地床面積割は、土地の評価額が高い場所(中心部など)ほど、また床面積が広いほど大きくなるしくみです。
計算のイメージをつかむため、仮の数字で試算してみます。家屋の固定資産評価額が200万円、敷地の土地の評価額が1㎡あたり10万円、床面積が100㎡の住宅に、立地床面積割の最も低い税率0.15%が適用されるとした場合です。
- 家屋価値割:200万円 × 0.7% = 1万4,000円
- 立地床面積割:10万円 × 100㎡ × 0.15% = 1万5,000円
- 合計:年2万9,000円(固定資産税・都市計画税とは別にかかる)
実際にどの税率区分になるかは家屋の評価額で決まるため、京都市の公式ページで確認してください。
免税点:評価額が低い家屋は課税されない
家屋の固定資産評価額(課税明細書の「当該年度価格(合計)」)が30万円未満であれば、この税はかかりません。さらに、制度開始から5年間は、免税点が100万円未満に引き上げられます。
家屋の評価額は建ててからの年数とともに下がっていくため、築年数の古い家は免税点を下回ることもあります。自分の家が課税されそうかどうかは、手元の課税明細書でおおよその見当をつけられます。
空き家売却に関するご相談は、空き家買取のプロにご相談ください
データで見る京都市の一戸建て取引:築古の家も実際に売れている
「古い京都の家は、税金がかかる前に売ろうとしても売れないのでは」と心配する方もいます。国土交通省「不動産取引価格情報」の2021〜2025年のデータから、京都市11区の一戸建て(土地と建物)の取引を集計しました。取引は計5,100件、価格の中央値は約2,400万円です。
| 区 | 取引件数 | 価格の中央値 | 1980年以前築の割合 | 1,000万円以下の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 伏見区 | 878件 | 1,900万円 | 34% | 32% |
| 右京区 | 760件 | 2,200万円 | 32% | 30% |
| 左京区 | 699件 | 3,200万円 | 31% | 13% |
| 北区 | 555件 | 3,000万円 | 25% | 15% |
| 西京区 | 549件 | 3,200万円 | 28% | 13% |
| 山科区 | 544件 | 1,400万円 | 41% | 42% |
| 南区 | 321件 | 2,300万円 | 28% | 23% |
| 上京区 | 256件 | 2,500万円 | 28% | 26% |
| 中京区 | 231件 | 2,400万円 | 28% | 16% |
| 下京区 | 162件 | 1,950万円 | 30% | 27% |
| 東山区 | 145件 | 1,700万円 | 44% | 36% |
※「1980年以前築の割合」は建築年が記録されている取引に占める1980年以前に建てられた家の割合、「1,000万円以下の割合」は全取引に占める価格1,000万円以下の取引の割合です。
どの区でも、1980年以前に建てられた家(おおむね旧耐震基準の時代の家)が取引の2〜4割を占めています。とくに山科区と東山区は4割を超え、1,000万円以下の取引も3〜4割あります。築年数が古くても、価格次第で買い手がつく市場であることが分かります。区ごとの詳しい相場は京都府の市区町村別・空き家売却相場で確認できます。
築年数と価格の関係をもっと詳しく知りたい方は、築年数別の実取引データで見る古い家の売却価格も参考にしてください。
課税が始まる前に考えたい3つの選択肢
① 売る
課税が始まる前に売却すれば、この税を負担することはありません。相続した家を売る場合は、国の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(いわゆる空き家の3,000万円特別控除)を使えることがあります。この特例には、相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、1981年5月31日以前に建てられた家であることなどの要件があります。また、2024年1月1日以降の売却で、家と土地を相続した人が3人以上いる場合は、控除の上限が2,000万円になります。
売ったあとの手取り額の計算は、空き家を売ると手元にいくら残るかの解説で詳しく紹介しています。
② 貸す・事業に使う
事業に使っている住宅は課税が免除されます。また、賃貸の募集を始めてから1年間は課税免除の対象です。ただし、募集は一般から広く借り手を募る必要があります。貸すかどうかで迷っている方は、売るか貸すかを比べる空き家の賃貸ガイドも参考にしてください。
③ 住む・持ち続ける
誰かが住所を移して住めば、非居住住宅ではなくなります。持ち続ける場合は、税額の目安を出したうえで、固定資産税・修繕費・管理の手間と合わせた「持ち続けるコスト」を把握しておくことが大切です。放置した場合の税金のリスクは、空き家を放置したときの固定資産税のリスクで解説しています。
空き家売却に関するご相談は、空き家買取のプロにご相談ください
よくある質問
Q. 京都市の空き家税はいつから始まりますか?
A. 京都市は令和12年度(2030年度)からの課税開始を予定しています。当初の予定から1年延期されているため、「2029年開始」と書かれた古い記事に注意してください。
Q. 別荘やセカンドハウスも対象になりますか?
A. 市街化区域にあり、住所を置いている人がいない住宅であれば、別荘やセカンドハウスも対象になり得ます。事業に使っている場合など、課税免除に当てはまるときは課税されません。
Q. 自分の家が対象かどうかは、どうすれば分かりますか?
A. 固定資産税の課税明細書(家屋)で確認できます。「都市計画税に係る当該年度課税標準額」が空白なら市街化区域の外なので対象外です。「当該年度価格(合計)」が免税点(30万円、制度開始後5年間は100万円)未満なら課税されません。
Q. 売りに出していれば課税されませんか?
A. 売却を予定していて、その開始日から1年がたっていない住宅は課税が免除されます。ただし、一般から広く買い手を募っていることが必要で、免除は開始から1年までです。
まとめ
- 京都市の空き家税(非居住住宅利活用促進税)は、令和12年度(2030年度)の課税開始予定
- 対象は市街化区域にある、住所を置いている人がいない住宅(別荘・セカンドハウスを含む)
- 税額は「家屋価値割(0.7%)+立地床面積割(0.15〜0.6%)」。免税点は30万円(開始後5年間は100万円)
- 事業用、賃貸・売却の募集開始から1年以内、景観重要建造物などは課税免除
- 京都市では築年数の古い一戸建ても実際に取引されている。課税が始まる前に、売る・貸す・持ち続けるの損得を比べておくのが安心